この数年で大きく増加しているのが賃貸経営です。
詳しくは土地持ちの地主さんが相続の際に相続税を払えずに全額借金で相続税を軽減することが一番の目的となります。
かといって代々引き継いできた土地を自分の代で売ってしまうのは責任を感じる。そういう経緯で仕方なく自己資金ゼロからの全額借金で、しかも家賃保証の怪しいシステムで契約してしまうのです。
でも良く考えてみて下さい!
業者が家賃保証までして受注するのは、地主を保護するためだと思いますか?
それともwinwinの関係だと思いますか?
そうではありませんよ!
これはお互い『勝つ』のではなく、『業者が勝って』『地主は負ける』典型的な例なのです。
この結果は既にいたるところの賃貸物件をご覧頂ければわかります。
今から5年前は空いていなかった比較的良質な賃貸物件がこの数年間でゴロゴロと空き始めています。
この傾向は今後加速的に勢いを増してくるでしょう。
少子化による人口減少の中、東京オリンピックという今の日本には不必要で悪循環を生む根源を受け入れてしまった今、一極集中により東京都心部にマンション等の新規物件が数多くつくられ、そして現在計画段階のものも山ほどあります。
つまり地方との格差は今後まだまだ広げてくるということ。
今はまだ東京に比較的近い地域はそれほど地価の下落はありません。
それどころか横ばいか比較的好調に推移していると言えるでしょう。
ただそれも2020年の東京オリンピックが終わり、私の感覚では3年程度でかなり大きな下落に転じてくると予測しています。
ただそれは特に何の分析なども不要で、普通に冷静になって考えれば容易に想像ができることなのです。人口が減り、若者が減り、高齢化してくる中で、既に過剰で余っている賃貸物件の借り手が今後も安定的に確保できると考えるほうがどうかしているのです。
やがては政府が外国人や移民を受け入れて賃貸物件の安定化を図るという政策を講じるしか手はなくなると思いますが、それでもその波に巻き込まれた時点において勝ち組と負け組みはハッキリと線引きできるほど厳しい賃貸経営を強いられると考えます。
特に家賃保証で35年間、大手メーカーの言いなりで賃料の10%、修繕費等を徴収され拘束されてしまうのが一番の打撃です。勿論一番の打撃は最初の建築費なのですが、最初に建築費という大きな打撃を受け、そのキズが癒えない中で「家賃の値下げ」や「修繕費」により最後は競売にかけられるという案件が相当数でてくると考えています。
そう、結局は当初の業者のシュミレーションはあくまでそのときの相場などを基準にしており、業者の作成したシュミレーションなのだから業者に都合のいいように作られていると考えるのが自然です。
よってそのシュミレーション通りにはほぼ間違いなく進まずに収益を圧迫し、やがては物件を維持していることが困難になる案件が増えるでしょう。
【例えば、駅から徒歩10分、土地の広さ70坪で6世帯のワンルームを大手ハウスメーカーで建てたとしよう。予算は8,000万円、35年間一括借り上げ、差引きで毎月20万円程度が手元に入ってくるとしましょう。】
よくありそうなパターンです。
だって実際に現在行われている例を参考にしているのだから辻褄は合っているはずなのです。
さて、これで仮に2020年から3年後、つまり2023年辺りから家賃が下げられ、収益が8%程度少なくなる。さらに2020年から5年後、つまり2025年には収益が10%以上少なくなる。
・・・とここまではある程度想定が出来るのですが、『賃貸経営のバブル崩壊』というのは半値下がりまではあっておかしくありません。
いつの間にか賃貸経営をバブルと読んでしまっていますが、そう、私は今の賃貸経営は既に飽和状態だと思っています。前述しましたがよく街を見て下さい。どれだけ空室があるか。少なくとも10年前、いや5年前でも埋まっていた物件が今は空室だらけになっているのが事実です。
話しを戻しますが、つまり仮に毎月20万円入ってきていたものが、10万円になったらどうでしょう。今のシュミレーションでやりくりできるでしょうか?
それに加えて業者の収益圧迫による悪循環もいくつか想定できます。
正直、私はその先を考えるのが怖いです。
まぁ、最終的には競売から得た資金でも不足が生じて業績が悪化することで資金力がなければ業者の倒産ということになるのでしょう。
時期によっては業者は生き残る可能性はありますが、賃貸経営者はスッカラカンになります。
以上が20年以上、この業界で様々な業務をこなしてきた私の主観です。
実際に違う角度から本件(賃貸経営)の危険性を記事にしているプロの方で参考になるものもありますので合わせてご参考にされるとよろしいかと思います。
それと住宅着工件数も、一時は2000年後半のリーマンショック前まで100万戸超えを保っていましたが、2030年には50万戸台まで減少するといわれ、建設業者としては団塊世代は完全に引退し、その後の労働人口減少によりちょうどいい着工件数になると考えていますが、一方でそれだけ急激に落ち込む見込みだという深刻な状況を感じ取って欲しい。
他参考
5年ごとに実施されている「住宅・土地統計調査」(総務省統計局)によると、2003年時点で367.5万戸だった「賃貸用の空き家」は2013年に429.2万戸となり、10年間で約62万戸増加した。また、「住宅着工統計」(国土交通省)によれば、2004年から2013年までの10年間における「貸家」の着工は約400万戸にのぼる。
つまり空き家が増加しているのに対し、なおも賃貸物件を空き家と同程度の戸数建てている。しかも古いデータです。次のデータはかなり悪化するでしょう。