マンション派?建売派?賃貸派?

建売の需要は高く、都心に比較的近い地域では都心までの通勤圏内でマイホームを取得するというのはサラリーマン世帯の夢でもありますが、電車通勤ではない車で通勤している世帯においても駅から離れても価格が安いほうがいいということで需要がありますよね。

私の住む川口市はそれらどちらにも対応しているので、建売を販売するには比較的良好な地域と言えます。実際に私自身も分譲マンションよりも建売のほうがまだコスト的なメリットはあるだろうと考えています。

例えば私の住む川口市では、京浜東北線沿線の駅で通勤圏内の分譲マンションは2,980万円から・・・とか2,700万円台からというような看板をよく目にします。このように仮に3,000万円程度の分譲マンションを購入した場合、仮にそこに35年住み続けた場合の収支を計算するとトータルでどの程度のお金を払っているのかは容易にわかります。

3,000万円を今の変動金利でフルローンのボーナス払いなしだと総支払い額は3,400万円とちょっと、毎月8万円とちょっとで購入できます。都市計画税と固定資産税は住宅ローン控除と相殺するとして、そのほかには管理費と修繕積立金が3万円程度かかってきますので年間36万円×35年で1,260万円、そしてマイカーを持てば駐車場代として月に1万円以上は必要になりますから年間12万円にしても35年で420万円、つまりマンション以外に1,700万円程度の出費があるといことになります。
※住宅ローン控除はおそらくフルで使える方は少ないと思うので、年間20万円×10年で200万円とすると、かなりアバウトな概算ですが税金の半分程度(200万円)しかまかなえないと思います。

ここで考えてみて下さい。
住宅ローンの総支払額3,400万円+1,700万円で∴5,100万円近く(+税金)になります。
これを35年で割ると、5,100万円÷35年=145万円以上(年間)となり、仮に駅まで歩ける賃貸マンションをこの地域の相場である12万円(駐車場込み)とすると、12万×12ヶ月=144万円となりマンションの収支とほぼ同額となります。

勿論、マンションは35年後に中古として販売できますが、今後都心部でのマンション販売が加速し、地方が過疎化していく中、今より価格が下落する可能性が高くなります。その時点で保有しているマンションがいくらで販売できるでしょうか?
誰も予測できません。
わかっているのは住宅ローンで相殺しきれない税金の200万円相当とマンション改修等の際に不足する修繕費の出費分があるということ。古くなれば同価格で住み替えられる賃貸のメリットなど、それらを考慮すると、分譲マンションと賃貸マンションの差は限りなくゼロに近くなるというこです。

ここで建売のほうを確認してみたいと思いますが、建売も基本的には前述の計算とほぼ同じ要領になりますが、建売は管理費がありませんから、自主的に修繕積み立てだけすればいいということになります。従って毎月1万円程度の管理費がかからない、そして駐車場も敷地内に確保すればかかりませんから単純にその分2万円程度安くなりますが、建売の場合は立地条件によってかなり快適性が左右されますから、北道路で駅から離れていれば2,980万円という物件もありますが、マンションと比較すると快適性は劣ると考えます。

断熱性能についても、現在の建売は長期優良住宅仕様として、硝子をLOW-Eにして高性能で売りに出されているものもありますが、それでも徹底的な経費削減を行っているので下記のように基礎の水抜き穴や水道配管の穴は外構工事時に自費で行うようなケースも多く、購入後に何かと余計な出費が考えられます。
水抜き穴

水道配管

このように、駅から徒歩20分程度の比較的落ち着いた地域では3,000万円程度で建売住宅を購入することも可能ですが、どうしても『安かろう悪かろう』の壁は越えられません。
それでも仮に3,000万円で日照の少ない北道路などの条件で購入した場合、住宅ローンの総支払額3,400万円+800万円(修繕費)で∴4,200万円近く(+税金)になります。
このケースでは同地域においては賃貸も安くなりますから、仮に同条件で日照を不利に考えて家賃8万円(駐車場込み)で計算すると、8万円×12ヶ月×35年=3,360万円となり建売よりも800万円以上トータルコストは安く抑えられます。
※修繕費に幅があるので税金のプラス分を参入せずに建売を不利に計算しています。

このように基本的に賃貸物件に住むということは、ステータスや世間体を気にしなければ借金もなくリスクが低い、フットワークが軽くて常に快適な環境に安く住めるというメリットがあるのは事実だと思っています。ただ私の推奨している家づくりのように、少ないコストで最大限の住環境を得ることにより、コストは勿論、日常の暮らしにおいて大きな価値を生むと考えます。

ここで否定しておきたいのは、家賃を払っているならマンション買って、最終的にそれを財産にしたほうがいいという考え方です。将来を見据えて、より詳細な計算をしていけば、上記以外にも様々なことがマンションを買えば起こってきます。それらをきちんと考慮したうえで購入を検討することをお勧めします。

食と住まいの共通点

こんにちは。
埼玉県の注文住宅 新築 リフォームなら「原価で建てる自然素材の家」「外断熱の家」(有)埼玉建築職人会 にお任せ下さい。

以前から私がよく感じているのは、飲食店と工務店というのは本当によく似ているな~ってことです。

皆さん、自分のお気に入りのお店ってありますよね?
私は食べることが大好きなので、和食を食べるならここっていうようなお店をいくつかもっています。

それはファミレスから個人店まで様々です。
きっとみなさんもそんなお店をいくつかもっていると思います。

今日はそんな美味しいお店について多少考えてみたいと思います。

実はこの飲食店選びと工務店選びというのは非常に似ているんです。

なので今回は飲食店と工務店という異業種ではありますが、その類似しているポイントを考えたいと思います。

ここで、飲食店には大きく下記のように規模別に分けることができます。

①ファミレス
②数店舗展開しているお店
③個人店

掘り下げて考えると他にもありますが、ここでは解りやすくするために、大中小という規模をとりあげてみました。

この大中小の中でも価格差がピンからきりまであります。
①のファミレスにしても、私の身近にあるお店を見ても安いお店と高いお店では1.5倍くらい違うでしょう。

ではその価格差は何ですか?

その価格差=食材の違いやシェフの腕、サービス、立地だったりします。

高い価格設定にはそれなりの理由があります。
中にはただ単に高いだけというお店もありますが、そんなお店はあまり繁盛していません。

そんな中で自分がファンになっているお店というのは一体どんなお店なのでしょう。

私は圧倒的に個人店が気に入っています。
ファミレスや数店舗展開しているお店と比べるとサービスは高くはありません。

ではなぜそのような個人のお店がいいのでしょうか?

本来なら組織として多くの従業員で構成されているお店の味は研究されていて美味しくて、食材も大量仕入れできるので安くなるというのがごく自然な考え方ですよね。

品質も大手のほうが安心できるような気もします。

もちろん数店舗展開しているお店もそれなりに力強さを持っていて良い食事を提供してくれそうです。

しかし実際に多くの方がこのお店は美味しい!
そう感じて満足できるのは個人のお店だと思います。

それは立地を問わず、銀座の一等地から郊外までの共通事項です。
以前、中堅の飲食店経営者と話した際に興味深いことを言っていました。

ずばり『がんばっている個人店には勝てない』と!

素材良し、料理の腕も良し、価格も大手より安いという三拍子がそろえば、店構えやサービスが多少悪くても行列ができます。仮に大量仕入れで大手と個人店で10%仕入れ価格に差が生じたとしても、個人店にはそれを丸ごとひっくり返せる秘密兵器があります。

それに対して、大手や中堅のお店では、必ず従業員の『熱意に差』があります。

アルバイトでも一生懸命働く方はたくさんいらっしゃいますが、そうでない方のほうが圧倒的多数を占めているのが現実です。

日々の生活を支えるためにその仕事に夢を託さないという性質がアルバイトには少なからず存在する。

勿論、やるからには何事も一生懸命やるという素晴らしい方もいますが、その一生懸命さにも自分の人生をかけているかいないかで雲泥の違いがでるのです。

しかし、個人で営業されている方は、勿論上記と重複した日々の生活のため、自分たち家族がご飯を食べていくために仕方なく営業している方もたくさんいます。

しかし、アルバイトの中にもやるからには一生懸命やるという方がいるように、個人のお店でも同じように頑張っている方がいます。

ここで比較するのは、そこでただ一生懸命なのか、夢を持って人生かけて一生懸命に取り組んでいるのかによってもだいぶ違いがでるということで、後者なら、その個人のお店に行けば必ず満足して帰ってこられるのです。

なぜならそのお店にはその人しかいないからです。

つまりお客様のために自分の人生をかけて料理をするというたった一人の人間が、献立を立て、食材を選び、料理をする。こうしてテーブルに出される料理は最高以外の何ものでもないのです。

そこには、やる気のないアルバイトもいない、社員もいない、料理を運ぶスタッフくらいはいるでしょうけれど直接料理に関与しない。食材選びから料理までのすべてが一流の料理人によって完結するのです。

そうなると大手や中堅の組織として展開するお店はどうやっても勝てません。

人材育成などを常時行い、厨房では料理人の育成、フロアでは接客マナーの教育と新たな人材が入れ替わり立ち代りに入るたびに指導するが、企業側はその人材を育てるのに限界があります。

なぜなら優秀な人材はみな独立してしまうからです。
最も大きな痛手は、多大な経費を投入して育てた人材があっけなくやめてしまうことです。

優秀な人材は向上心があり、常に自分の力を高める努力を行い、やがてその企業が使っている以上の食材を求め、そしてその企業のメニューにない献立を造りたくなるものです。

ですから企業側はそのような人材が一時的に入社してもやがては手放すことになり、そのときのダメージはとてつもなく大きいものになるので、そうならないように均一化を徹底しようとします。

誰が料理しても同じ味になり、誰が仕入れても同じ素材が調達できる。
このような状況下では一流の個人店には勝つことができないのです。

そう、違いは『熱意』なのです。

自分が何とかしなければ!

極力良い素材を使って、一人でも多くのお客様に美味しいと満足してもらうために人生をかける。

一人の人間ができることは限られてきますが、少なくともその一人の人間に出会ってファンになったお客様くらいは満足させることができるのです。

もちろんファミレス系で妥協して食事をすることも多々あるとは思いますが。

近年は高級料理店の不祥事が毎年のようにテレビでも取り上げられていますが、結局良いものを提供するというのは、相手のことを考え、経営者やトップが自分が食べるならこんなお店で食べたいと思えるようなものをつくって提供しているかどうかがポイントだと思います。

そしてそれらを実現するために経営という名の下に、金儲けに走らずに『経営=社会貢献・お客様を満足させる』という根本的な常識を持ち続け、確かな店舗管理を行っていくということは非常に難しいこと。

経営者が理想を掲げても、揚げ物担当・焼き担当と各持ち場の担当者一人がダメならすべてダメになる。

価格と品質のバランスの取れたお店というのは少ないですが、美味しい料理を納得のいくお値段で提供してくれるお店というのは地域密着型の個人店に限りますね。

裁判で建築確認が取り消された

こんにちは。
埼玉県の注文住宅 新築 リフォームなら「原価で建てる自然素材の家」「外断熱の家」(有)埼玉建築職人会にお任せ下さい。

さて今回は、建築確認が裁判で取り消され、建築中だったマンションの工事がストップしてしまった事例をご紹介します。

建築主は、東京都新宿区で建築確認を下ろしてマンションを建築していた。

しかし、近隣住民の訴えにより建築確認が取り消され、計画が宙に浮いてしまったのだ。

マンションの建築主である新日本建設(千葉市)は、建築確認を下ろした新宿区などを相手取り、損害賠償を求める訴訟を提起したが、東京地方裁判所は2014年2月、原告の請求を棄却した。

このマンションは鉄筋コンクリート造、地下1階、地上3階建て、30戸の計画だった。

敷地は有効幅員4m、長さ34mの道路状空地のみで接道する通称旗ざお敷地です。

マンションの延べ面積は約2820平米で、東京都建築安全条例では、延べ面積2000平米を超え3000平米以下の建築物の敷地については、8m以上の道路に接するように規定されている。

但し、建築物周囲の空地の状況などにより必要と認められる場合、この規制の適用を除外する特例(安全認定)がある。

建築主はこの安全認定が得られたことを確認して、前所有者から2004年に計画地を購入し、建築確認を取得して着工している。

そこに計画地の近隣住民らが、安全認定が違法であるとして建築確認の取り消しを求める行政訴訟を起こした。その結果、なんと2009年に建築確認が取り消されてしまったのだ。

これを受けて建築主は、新宿区の判断(安全認定)に過失があったとして損害賠償を求めたが、東京地裁はその訴えを退けた。

つまり建築主が事前に当該敷地において新宿区に「安全認定」が得られることを確認してから土地を購入したが、建築確認を経て建築していたところ、近隣住民からその安全認定は違法だと訴えられ、建築確認が取り下げられてしまい、建築が継続できなくなってしまったという事例です。

普通に考えると、本件の建築主の手順はごく自然の流れで、事前確認をして適切な手順を踏んでから工事着工しているから何の問題もないように思いますよね?

しかし、近年ではこのように行政の判断と司法の判断が分かれてしまい、設計者や施工者、そして建築主にその火の粉が降りかかるケースが増えているのです。

本件のケースでは、「安全認定」を適用して建築確認を下ろした新宿区の建築主事の過失が、国家賠償請求訴訟においては認められなかったという事例だ。

裁判の但し書きでは、建築主の責任や建築主事の過失の程度によっては、国家賠償請求は否定される場合がある。建築主にある程度の責任があり、かつ建築主事に大きな落ち度がない場合は、国家賠償請求が認められない可能性がある、としている。

最高裁判決は、建築物の安全性は「建築士の業務の遂行によって確保されるべき」と指摘している。従って最高裁は、建築物の建築基準法関係規定への適合性について、第一に責任を負うのは建築主から委託を受けた建築士であるとの認識を示している。

つまりこのケースでは、4mの旗ざお敷地では、仮に新宿区の建築主事が東京都建築安全条例の但し書き(安全認定)を適用してもよいと判断したとしても、建築士はその判断を疑い、当該道路状況下においては8m以上の道路に接すると同等の空地の状況には当てはまらないと解釈し、建築しない、或いは計画をより小規模に変更して提案するなどの配慮が求められるということ。

これは極めて難しい判断であり、通常我々設計者が設計の依頼を受けた際に、やはりまずは行政に事前相談を行い、その内容をもとに行政の指示に従って設計を進めるのが本来の流れであったが、近年では行政の判断と指導によって設計を行っても、司法の場でそれが覆されるケースがある。

設計者は、特殊な案件においては、行政の判断を鵜呑みにするのではなく、設計者自信の判断で法律や条例を解釈して設計をする必要がある。ある種、建築士は建築の法律や条例が曖昧な部分において、建築主のプラスになるような考えはせず、平等と公正な立場により、独自に専門性を発揮してそれらを判定しなければならないという厳しい立場であることを認識する必要がある。

まとめ
■判決の争点
(1)区の安全認定について過失が認められるか。
(2)安全認定や建築確認、消防同意について、原告との関係において国家賠償法上の違法と評価され得るか。
(3)区の建築確認、都の消防同意に過失が認められるか。
(4)区や都に過失がない場合、原告の損失補償請求が認められるか。

■条件付で国家賠償対象に
建築確認行為は建築主との関係でも、国家賠償法上の違法に該当し得る。但し、
(1)建築主が建築確認への不適合がある程度認識していたなど、責任が認められる。
(2)建築主事に大きな過失が認められない。
これらの場合に、総合的に考慮したうえで信義則に反すると判断されれば、国家賠償請求は否定される。